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ソーシャルビジネスとは?

ソーシャルビジネスとは?

社会的課題を、
事業を通じて解決する。

最近耳にする機会も増えてきた「ソーシャルビジネス」という言葉。スタートアップベンチャーを始め、さまざまな起業家がこのビジネスに着目し、実際に行動を起こしています。このソーシャルビジネスとは、元々ノーベル平和賞を受賞した経済学者ムハマド・ユヌス博士が提唱した概念。環境保護や貧困支援などの社会的課題をビジネスという手段を用いて解決していく活動を指しています。

社会課題の解決にボランティアとして取り組むのではなく、ビジネスの形で行うという新たなアプローチがこの「ソーシャルビジネス」。日本においては、2007年に発足した経済産業省のソーシャルビジネス研究会により、その3つの要件について以下のように定義されています。

社会性
現在解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること
事業性
ミッションをビジネスの形にし、継続的に事業を進めていくこと
革新性
新しい社会的商品・サービスやそれを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること

ソーシャルビジネスの活動方法には、大きく2つのタイプがあると言われています。

A/社会的課題の解決のみに焦点を当てたビジネス
B/社会課題の当事者がビジネスを行うもの

一つ目が、社会的課題の解決のみに焦点を当てたビジネス。事業によって社会課題を解決するもので、貧困地域の道路整備や教育施設の設置等を行うビジネスがこれにあたります。もう一方は、社会課題の当事者がビジネスを行うもの。こちらの場合は、事業領域は社会課題の解決に限らず、どのようなものでも構いません。事業から出た利益を当事者が受け取ることが社会課題の解決へと繋がるモデルです。このどちらかのタイプか、もしくはそれらを混在させる形でソーシャルビジネスは成立しています。

そしてソーシャルビジネスには、ユヌス博士が掲げた「7つの原則」と呼ばれるものがあります。

[ ソーシャルビジネス7つの原則 ]

  • 1ビジネスの目的は利潤最大化でなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、情報アクセス、環境などの社会課題を解決することである。
  • 2財務的・経済的な持続可能性を担保すること。
  • 3投資家は投資額のみを回収する。元本以上の配当は還元されない。
  • 4利益が投資額以上に生じた場合は、ソーシャルビジネスの普及や改善・拡大に使うこと。
  • 5環境へ配慮すること。
  • 6市場賃金と標準以上の労働条件が従業員に提供されること。
  • 7楽しんで取り組むこと。

この7つの原則は、ユヌス博士が実際にビジネスを行う上で見出したエッセンスが詰まっており、ソーシャルビジネスの理念とも深く結びついています。もちろん、この7つを必ず満たしていないと、ソーシャルビジネスではないというわけではありません。実際には、ここから派生して様々な形のソーシャルビジネスが生まれています。

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なぜ今ソーシャルビジネスなのか?

そもそもなぜ、世界的にソーシャルビジネスへの関心が強まっているのでしょうか。その理由を2つの視点から考察していきます。キーワードは「持続可能性」です。

[ 社会的視点 ]

現在、我々は過去のどの時代と比較しても圧倒的に便利で快適な生活を営んでいると言えます。しかし、その裏側では深刻な格差が生まれ、貧困問題に直面する人々が大勢います。また環境破壊も深刻を極めています。
そんな中、2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」が開催され、161の加盟国が出席しました。そこで全会一致で採択されたのが「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」です。

[ 我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs) ]

SDGsは人間、地球及び繁栄のための行動計画として掲げられ、17の目標と169のターゲットで構成されています。目標全文は下記の通りです。

世界を変えるための17の目標

  • 01あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
  • 02飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
  • 03あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
  • 04すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  • 05ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
  • 06すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
  • 07すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
  • 08すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
  • 09レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
  • 10国内および国家間の不平等を是正する
  • 11都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
  • 12持続可能な消費と生産のパターンを確保する
  • 13気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
  • 14海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
  • 15陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
  • 16持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
  • 17持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

国連発足後、初の全会一致で採択されたという事実からも、国家や政府はもとより、今この時代に生きる全ての人にSDGsへのコミットメントが求められていると言えます。
これまで、企業が社会的課題の解決に関わる際は資金提供やボランティアといった手法がメインでした。しかし、今後持続可能な社会を目指す上で、社会課題へのアプローチも継続的に行われ続ける必要があります。そのための手法の一つとして今、ソーシャルビジネスが注目されているのです。

[ 事業的視点 ]

社会からの要求とは別に、マーケット環境の変化からもソーシャルビジネスへの期待が高まっています。先進国の経済成長が鈍化する中で、資本主義社会は新たな成長市場を求めており、今後特にBOP層(Base of the Economic Pyramid)と呼ばれる低所得者層の市場拡大が見込まれています。BOP層は発展途上国を中心に存在し、世界人口の約7割(40億人)を占めるとも言われています。そのボリュームと合わせて、途上国の経済成長に伴う所得向上も見込まれることから、有望なマーケットとして注目されているのです。

しかし、現状ではBOP層は消費者たり得るほどの購買力がありません。そのため、彼らが未来の消費者となり、ビジネスの対象となってもらうためにも、まずは社会課題の解決が必要となります。そうした意味でも、ソーシャルビジネスが求められているのです。つまり、将来のマーケットを開拓・成熟させ、企業の利益を確保できると同時に低所得者層の生活レベル向上にも貢献できるということ。このようなWin-Winの関係を築けるソーシャルビジネスという手段には大きな期待が寄せられています。

そして、このように「継続的な社会課題へのアプローチで持続可能な社会をつくる」「ハイポテンシャルなマーケットの開拓で事業の持続可能性を高める」という2つの視点から、ソーシャルビジネスに対する機運が世界中で高まっているのです。

[ リジョブが取り組むSDGs ]

リジョブではSDGsが今ほど話題になる前から、美容・ヘルスケア・介護といった“おもてなし業界”における求人メディア事業やCSV(Creating Shared Value)推進プロジェクトを通し、事業を通して社会課題の解決にチャレンジしてきました。

CSVは「企業と社会の両方に価値を生み出す共有価値の創造」を指しており、SDGsはCSVの発展形とも言われています。そこで、リジョブでは各事業やプロジェクトとSDGsとの関連性を可視化し、組織として目指すべき方向性を内外に示すために『リジョブ式SDGsマップ』を作成しました。

リジョブ式SDGsマップ リジョブ式SDGsマップ

この『リジョブ式SDGsマップ』 作成にあたっては、「社会・業界に与える経済価値」を縦軸とし、リジョブのソーシャルビジョンである「“心の豊かさ溢れる社会”実現への貢献」を横軸としました。

また、SDGsが「環境」「経済」「社会」の3つの側面に分類できることを大枠として捉え、各事業やプロジェクトを3つの枠内に配置。マップの土台にはリジョブが事業と両輪で大切にしている「組織創り」を配置しています。

リジョブは各事業やプロジェクトの推進を通し、この『リジョブ式SDGsマップ』に明示されているSDGsゴールの達成に向け挑み続けることで、「心の豊かさあふれる社会の実現」に近付いていきます。この「リジョブ式SDGs」についてご興味のある方は、こちらのページをご覧ください。

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世界のソーシャルビジネス

世界で関心が高まっているソーシャルビジネスですが、実際どのような社会課題がソーシャルビジネスによって解決を図られているのでしょうか。

[ 世界のソーシャルビジネス ]

世界には、未だ解決されていない様々な社会課題が存在しています。特に途上国における問題は、貧困、教育、雇用、医療、公衆衛生など多岐にわたり、生命や生活にかかわるものも多く深刻です。ここでは、そのような問題を解決するために生まれたソーシャルビジネスの事例を紹介します。

貧困
例)貧困層を対象とした低金利の無担保融資を行う金融ビジネス。元手を借りることができないために商売をはじめられない貧困層に対して低金利・無担保でお金を貸すことで経済的自立を支援。特に、途上国において教育や医療の面で冷遇される傾向にある女性が、自立して収入を得ることに役立っており、借り手の多くも女性が占めている。
雇用
例)飢餓に苦しむ子ども向けの栄養食品を現地で生産し、貧困層でも購入しやすい分量・価格で販売を行うビジネス。現地に雇用を生み出すだけでなく、栄養食品を通じた健康状態の改善にも繋がり、雇用問題と栄養不良問題を同時に解決している。
医療
例)予防接種や感染症治療などに特化したクリニック事業。途上国ではまだ保険制度が整備されておらず、病院自体の数も少ないため十分な医療を受けられない人が多くいる。このクリニックは高度な医療は行えないが、健康維持や疾病の予防だけでも行いたいというニーズに沿うサービスで、貧困層の生活を支えている。
公衆衛生
例)マラリアが蔓延し、子供を中心に多くの命が失われているアフリカにおける蚊帳の製造・販売ビジネス。2000年から2015年の15年間でマラリアによる死亡者は60%減少。多くの人々の命を救うだけではなく、現地で8000人もの雇用も生みだしている。

ここで紹介したのは世界のソーシャルビジネスのほんの一部ですが、今後さらに社会課題が多様化し複雑性を帯びていく事や、政府やNPO・NGOだけでは解決できていない社会課題が山積みになっていることを考えると、ソーシャルビジネスへの期待は更に高まり、発展していくことが予想されます。

[ 日本のソーシャルビジネス ]

先進国と言われる日本においても、もちろん社会課題は存在します。その最たるものが、少子高齢化。その深刻さは他国の比ではなく、少子高齢化が発端となり、介護や雇用、社会保障など様々な課題が発生しています。その他、待機児童・子育て支援、社会保障、食品廃棄、地方創生など、先進国ならではの社会問題も山積みです。ここでは、日本で生まれたソーシャルビジネスの事例を紹介します。

介護
例)介護が必要な高齢者を対象に、ヘルパーが付き添う国内外旅行サービスを提供する事業。高齢者が身体の心配をすることなく旅行を楽しみ、心豊かな暮らしを送ることに役立っている。その他にも、高齢者向けに出張型美容サービスを行う事業や、音楽を使って要介護者たちの人間関係をスムーズにする事業など、多くの事例が存在する。
高齢者雇用
例)定年退職後の高齢者だけを集め、企業に即戦力として送り出す高齢者特化型人材派遣業。高齢者の体力を考慮したシフト体制や、独自の利益還元の仕組みで、高齢者に対して「働く場」と「生きがい」を提供している。
子育て支援
例)病気の子供を預かってくれる自宅預かり型の保育事業。子育て経験のある母親を保育スタッフとして雇用。主流である施設型のモデルより大幅なコストカットを実現し、収益性を担保するビジネスモデルを確立。共働き家庭やひとり親家庭の、仕事と子育ての両立をサポートしている。
経済的格差
例)ホームレスの人たちの自立を支援するための雑誌を発行し、販売を委託する事業。売上の約半分を販売者の収入とすることで、経済的自立をサポートしている。これまでに100名を超える販売者が自立を果たし、累計売上額も8億円を超えている。

世界に比べるとソーシャルビジネスの発展が遅れている日本ですが、日本の経営とソーシャルビジネスの親和性は非常に高いと言われています。近江商人の「三方よし」の思想に代表されるように、日本には昔から自らの利益のためだけに商いを行うのではなく、社会に寄与すべきという精神が根づいているからです。今後、更にビジネスによる社会課題解決が広がっていくことが期待されています。

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ソーシャルビジネスの可能性

ソーシャルビジネスは、ビジネスという形をとることで継続的な社会課題へのアプローチを図るものです。しかし、それだけでなく、単純にビジネスとして捉えても将来性が大きく、魅力的なものだと言えます。従来のビジネス活動のほとんどは先進国をマーケットとしたものでした。確実な経済成長を背景に、高所得者が増え続ける先進国でビジネスを行うのは当然な考えです。一方、世界経済危機を一つの契機として、先進国の経済成長は鈍化傾向にあります。そうなると、今後伸びてくる市場がどこなのかを検討することが必要になってきます。

ソーシャルビジネスの可能性

出典:独立行政法人 日本貿易振興機構資料より抜粋

そこで登場するのが「BOPビジネス」です。BOP(Base of the Economic Pyramid)層と呼ばれる低所得層をターゲットに行うビジネスの総称をBOPビジネスと呼び、その市場規模は5兆ドル、対象人口は40億人にも上ると言われています。しかし、このBOP層は現時点で購買力が高いとは言えないため、短期的に大きな利益を上げるのは難しいというのが現状です。

ここで必要となるのがソーシャルビジネスです。ソーシャルビジネスによってBOP層の生活水準を上げることで、購買力が高まります。すると、先に述べたようにBOP層は存在数が多いため、マーケットしての購買力の向上率も高まり、BOPビジネスも拡大し、経済も活性化していきます。このように、BOPビジネスへの関心は、ソーシャルビジネスのニーズに繋がっているのです。将来のビジネスを考える時、ソーシャルビジネスを抜きにして語ることはできないという声も存在します。

また、アメリカ・イギリスは「ソーシャルビジネス先進国」と言われていますが、実際イギリスでは支援する仕組みが整っていることもあり、ソーシャルビジネスが非常に盛んに行われてきました。政府機関内にソーシャルビジネスを行う企業の支援を行うセクションが存在しているほど国を挙げて推進されているのです。そんなイギリスと日本を比べると、2008年時点では、なんと24倍も雇用者数に差がついていました。

しかし、ここ10年の日本でのソーシャルビジネスの発展には目を見張るものがあります。2019年現在、経済全体に占める社会的企業の割合は日本が11.7%、イギリスは14.4%。有給職員数の割合は日本が13.2%、イギリスが7.1%と、日本の社会的企業の経済規模は、企業数やGDPといった点ではイギリスよりやや小さいものの、雇用に対する影響力ではイギリス以上といえるほどに急拡大してきました(出典:2015年内閣府委託「我が国における社会的企業の活動規模に関する調査」報告書より抜粋)。

既にソーシャルビジネスが大きなマーケットとして認知されているアメリカ・イギリスを見てのとおり、ソーシャルビジネスが必要とされる場面は、途上国だけでなく先進国にも多々あるといえます。ここ日本でも、ようやくソーシャルビジネスという考え方が浸透し、SDGsを経営の中に取り込もうと力を注ぐ企業が増えてきています。そして、時代の追い風を受けて、少子高齢化問題を始めとする様々な社会課題が今後、ソーシャルビジネスによって解決されていくことが期待されています。

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